瀬戸内文化財修復所

facebook instagram

文化財の
  保存について

文化財の保存について

MISSION

文化財ひとつひとつについて綿密な調査をした上で、修復処置や模造製作などの手段・工程を検討いたします。

瀬戸内文化財修復所ができること

調査

⽂化財を残していくためには、それが何からどう作られ、どのように伝わり、今はどのように傷んでいるのかを知ることが必要です。その後修復を実際には⾏わなくとも、調査を⾏うことで保存環境を改善できる場合があります。可能な場合は、かすれた墨書を⾚外線写真で読み取ったり、ファイバースコープで像内を確認することなどもでき、3Dスキャナで⾼精度に形を記録することも可能です。また、調査記録を残しておくことで万⼀の毀損や盗難に遭った際の⼿がかりともなります。

調査の様子 調査の様子

修復処置

彫刻⽂化財はその信仰上の価値だけでなく、歴史的価値や美的価値、地域⽂化を理解する上での重要性など多くの側⾯を持ち、汚れや⽋けでさえもこれまでの歴史を⽰すものと⾔うことができます。ぴかぴかの真新しい状態にするのも⼿段の1つではありますが、それでは⽂化財が持っている他の側⾯を損ないかねません。保存のために⾏う処置は最低限のものに抑え、のちの時代に除去できることが望まれます。様々な価値を持つ以上、その保存にあたってはしっかりとした調査を⾏った上で、ある⼀⾯のみに偏らず総合的に考えて処置を⾏うことが求められます。

修復処置の様子 修復処置の様子

模造

模造(模刻)とは、「本物に似せて作ること、作られたもの」を指します。その歴史を辿ると、ヨーロッパではギリシャ彫刻を模したローマン・コピーが作られ、また⽇本でも平安時代の仏師がより古い像を計測・模造したという記録が残っています。現代では、実物模造が⾏われることも少なくありません。⼀般的に模造というと、replica やimitation (複製品、贋物)のイメージがありますが、研究や実物の保存のために作られるものもあり、reproduction(再⽣、再現)と英訳されます。そのような模造では、三次元計測や顔料分析などの科学調査を活⽤しながら、最終的には⼈間の⼿で制作します。仏像が信仰と美を集めたものである以上、その美しさを⾒極める⽬と⼿わざが⽋かせません。その技術を活かして制作された模造は、脆くなってしまった原本像に代わって活⽤されることで、原本像の保存につながります。また、現在では失われてしまった像の復元制作にもつながる場合もあります。

模造製作の様子 模造製作の様子